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2007/12/21

大沢在昌『魔物』

 思い返すと、大沢作品と出会ってからかれこれ20年になる。割と自分の読み方は、特定の作家の作品をとことん読み通す方だが、ぱったり付き合うのを止めることもあるし、作家の方が新作を出さなくなり、ご無沙汰になることもある。そういう中で、大沢在昌は初期からずっと読み通してきた数少ない作家のひとりだ。
 さて、最新刊の『魔物』(角川書店、上・下巻 各1600円+税、2007年)を、一昨日、出張の行き帰りの列車の中で読んだ。珍しく海外(ロシア)が最初の舞台で、いよいよ大沢作品もグローバル化かと思ったが、序盤に一転して舞台は北海道に移り、決着はさまざまな犯罪がうごめく首都東京になる。プロローグの登場人物も早々と殺してしまい、これも先の海外舞台の展開とともに、船戸与一の作風を彷彿とさせたが、麻取の主人公・大塚を最後まで生かしたところは、今後のシリーズ化も期待でき、やはり大沢流だと感じた。
 ストーリーで魔物が人間に乗り移るというSFホラー仕立てのところがあるけれども、これも大沢作品では意外なことではない。結末は途中から予想できたけれども、とにかくグイグイ読者を食い付かせるエンタメ精神には満足できた。それにしても代表作・新宿鮫シリーズと共通するテーマは、司法警察の抱える組織の硬直性、グローバル化・潜在化・巧妙化する犯罪に対する警鐘という気がする。今回はロシアマフィアに焦点を当てたのもたえず潮流を追っているなという気がする。

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